子どもが転ぶ前に助けてしまう親が多いと思う。まぁ、かく言う私もその一人なので戒めのためにも書いておこう。命の危険があればもちろん、危険を察知して教えるのは親の責任。「ここでころんだら大変」「これをもし口に入れてしまったら」「急に飛び出したりしないだろうか」…未熟な子供の周りには危険がいっぱい。かわいい可愛い我が子の命が万が一危険にさらされたらと、不安で眠れない日々を過ごしてきた経験が、子供がある程度成長した後もついつい手を出したくなる気持ちはめちゃくちゃわかる。ある程度手を離れてからも、ここで転んで泣いたりしたら面倒だな、とか、友達と取り合いになるなら先に他のおもちゃを渡しておこうとか、大人の知恵でトラブル回避。泣いてぐずった後が面倒くさいし、それに付き合っている時間がない。親も忙しいから、子供の成長とじっくり向き合う時間がとれないのだ。でも、やっぱりある程度失敗は必要で、実際に危険な目に合う経験も必要だ。
1つ目には、「失敗は成功の基」ということ。標語みたいなことを書いて、恥ずかしいぐらいだが、やっぱりtry&errorは必要で、失敗から学ぶことは多い。むしろ失敗が人格を形成していくといってもいいぐらいだ。体操を教えていて、驚くところでケガする子が多い。カエル逆立ちで顔面を打つ。側転で骨折する。その割にめちゃくちゃ擦り傷作って絆創膏貼ってる子には、なかなか出会わない。高いところから落ちたり、土のグラウンドで滑って転んだり、友達が振り回す棒にあたったり、そういうことって日常茶飯事だったけど、今の子は何して遊んでいるんだろう。先生たちも子供たちが怪我すると面倒だから、事前のセーブもしているし、そもそも危ないことはやらせない。危険な遊具は撤去するし、万全な体制で子供たちの遊びを見守る。子供の怪我よりも、文句言ってくる親の方が面倒だからだ。助ける事よりも失敗させることの方が、今は難しいんだと思う。だからこそ、失敗させることの価値は高いと思っている。痛い、恥ずかしい、悔しい、淋しい…そういう感情や経験をたくさんすることは人格形成に必要不可欠だと思う。
多くのお子さんを預かっていて、特に出来の良い子ほど、失敗ができない傾向がある。今は本当に情報があふれているから、子供たちはもう正解しか知らないのだ。低学年の小学生でも、ものすごくまともなことを言う子が多い。話し合いをしていても、もう30年生きてますみたいな結論を出す。一見それは素晴らしい話し合いなのだけど、全然面白くない。2つ目は、「愛されるポンコツ」ということ。
これだけ機械化が進んで、軽作業も検索サービスも情報選択もAIがやる時代に、人間がそれを追いかけて何になる?と、感じている。時代はものすごい勢いで変わっている、今日の価値観は明日通用しないかもしれないという変革のスピード感。正しい知識を詰め込む教育に何の価値があるんだろう。決められた時間に来て、失敗しない仕事をして、カロリー計算されたご飯を食べ、正解ばかりの会議に出て、働き方改革を守ってまっすぐ帰宅し、子供の宿題を手取り足取りみて寝る。そんな大人が大多数の国に未来はあるのか。せめて今の子供たちには、未来の選択肢を増やしてあげたい。この国が終わっているとしても、ほかの国に出て行って活躍できるスキルを身に着けてあげることが私たちの責任…と、ちょっと大げさですが、人間の幸福って、人間らしさって、人間の価値って、人間の面白さってなんだって言ったら、極論失敗するところだと思っている。
さっきの機械のような大人の例の反対で言えば、約束の時間に遅れてくる、取引先に怒られる、ついついラーメンを食べる、会議で突拍子もない提案をする、ランチの後なかなか集中できなくて作業が終わらず残業、帰りに一杯ひっかけてたら終電になって、こどもの寝床に潜り込む。そういう昭和的なだらしない大人になってしまうわけですが、そうなれということではありません。常識にとらわれず、失敗ありきで挑戦して、ダメなところをキャラクターにしていこう!っていうこと。失敗するほどのチャレンジって、そもそも難しい。まずは先頭に立って旗を振って、進む方向を決めること自体に勇気がいるし、途中道に迷ったときに「誰か助けて」という勇気も、「やっぱり引きかえす」という判断も、失敗を恐れていては出来ないこと。挑戦して、失敗して、その先にしか大きな成果は生まれない。そして、その失敗を許してもらえるキャラクターもまた失敗からしか生まれない。旗を立てた時ついてくる人がどれだけいるか。逆に誰ならついていくか。
一方ネットやテレビで聞いたことのあるような正しいっぽいことしか言わない機械のような人は、成功率60%でいつもそれなりの成果を上げるリーダーA。たくさんの広告主もついていて、めちゃくちゃ頭よさそうだけど、その広告主さんの指示にもすぐしたがってしまう。一方、寝坊で遅刻は日常茶飯事だけど考えてもみないような面白い発想でワクワクさせてくれるリーダーB。成功率10%だけど、今までのたくさんのtry&errorも公開していて、時々とんでもない成果をあげる人。あなたならどちらを選びますか?Aを選ぶ人が多いのでしょう。だから日本はこうなっているし、そこそこうまくいっている。Aが悪いと言っているわけではありません。でも、私は少なくともBについていきたいし、Bでありたいと思っています。ちょっと比喩があってないかもしれませんが、これが要は評価経済、キャラ経済ってやつですね。
例えばこの先、本当に日本が世界から取り残されて資源も仕事もなくなって貧乏になってしまっても、きっと失敗を恐れずにチャレンジできる人は、どんどん海外に出ていくことができる。もっと言えば、ものすごい新しいアイデアで新技術を開発して、環境問題を解決する人が現れるかもしれない。でも、その技術だって1万回の失敗の先の1回だったりする(何か既視感)。失敗をさせない大人が子供たちの未来を奪っていることに、早く気付かなくてはいけない。そして、小さな失敗する状況をどんどん作ってあげる事が必要なんだと私は思っている。



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